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自己変革の裏技
■ その十二 左うちわを見つける術
けわしい道を行け、とばかりに、
八月の太陽は、歩道を灼熱地獄に仕立てあげる。
クルマの騒音と張り合うように、
セントラルパークの蝉が、無数に鳴きたてる。
ビルの狭間から、汗の海から、
息をつぐように、思わずあえぐ、私。
しかし、逃げたいという心境ではなかった。
休もうという気持ちも、不思議と湧かなかった。
ただ、暑いなぁ〜と思い、歩いていた。
そんな、次の瞬間。
焼けたアスファルトの上に、置いてあった。
落ちていた。
拾いあげてみると、
どことなく、趣のある“扇子”。
「おお、センスあるなぁ〜」なんちゃって、
ありがたく、拝借つかまつる。
歩きながら、さっそくひろげて見れば、
ん？ 何か描いてある。
数羽のスズメに、やさしいまなざしのお爺さん。
絵の肩には、「かるいつゝら」の六文字。
こ、これは、舌切り雀の扇子。
う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん、あまりにも意味深。
お天道さま。
この謎かけが、いまだに解けないんですが。
◇ ◇
これも、何年か前のノンフィクションです。
教訓：「がんばっている時、無心の瞬間にのみ、与えられる。」
しかし、それをどう使うか、活かすかは、また別問題ということ。
なかなか、難だな、これが。
ちなみに、この扇子は今も愛用しています。
1997-08-20訂正
1997-08-12作成
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