自己変革の裏技

■ その一　睡魔を滅する術

　これから自分自身を、人生を、そして運命を変えていこう、と思うほどの人間が、ぼんやりとウトウトしていては、まったく話にならない。はっきり言って、頭が眠っているようでは、いつまで経っても、何も変わりはしない。いたずらに人生の時が過ぎてゆくだけだ。

　そこで、最初の「自己変革の裏技」その一は、まず眠気に打ち勝つ術（すべ）を紹介しよう。

　一般的な、眠気をなくし目を醒ます方法としては、頬をつねったり、ボールペンを太ももに突き立てるといったイメージを連想する。しかし、頬をつねるなんて芸当は、人前でなかなか見せられるものではない。かといって、大切なスラックスに傷を付けるというのも、ナンセンスな話だ。

　そもそも、自分の身体を傷つけることで目を醒まそうという考え自体が、自虐的であり、マイナス思考そのものである。私たちが生きている現代は、もう苦行を楽しむような時代ではない。

　人類の新たな次世紀が目前に迫っている時代。自分を律するスタイルも、新しい次代にふさわしく、発想を変えていかなければいけない。（そこまで大層な問題でもないか）

　そこで、私のおすすめは、これ。

　「睡魔に襲われたら、肛門を思いっ切り引き締めるべし。」

　・・・(^^;　これは、昔、友人から教わった、ねむけ醒ましの秘術。

　試しに、ちょってやってみて欲しい。お尻の穴を、ギュ〜〜ッとすぼめて、おなかの中に思いっきり引っ込めるようにする。

　ただこれだけで、意識がぐわ〜んと蘇り、虚ろだった目がパッチリ醒めるから不思議だ。どういう理屈でそうなるのか、私は専門家ではないから知らない。

　が、まるで「自分に喝を入れる」ようで、私の場合には良く効く。また、いつでも、どんな態勢でも簡単にできる上、他人から悟られないという利点もある。なかなか珍妙なる技なのだ。

　徹夜明けの打ち合わせで、眠くて仕方がないとき。会社のデスクで睡魔に襲われ、コックリさんになったときなど、効果てきめん。ぜひ、お試しあれ。

　ただ、惜しいのは、この術の効果が瞬間的なものでしかないこと。一回やれば完全に目が醒め、後はバッチリというわけではないので、寝不足の時などは頻繁に肛門を締める必要がある。ギュッ、ギュッ、ギュッ。（しかし、想像すると笑えるなぁ、これ）

　ちなみに、これを実践しているおかげか、私は今まで痔になったことがない。

　痔といえば、「痔病を持つ人は決断力に乏しい」という話を聞いたことがある。 　あらゆる病気は、人間の精神活動の影響を受けている節があり、その精神の偏りにより、現れてくる病気の種類も異なってくるというのである。

　では、なぜ、痔病の人は決断力に乏しいのか？　その理由はひと言で表現するなら、“糞切りが悪い”からだそうである。(^^;

　しかし、これも、単に駄洒落として済せたくない、言い得て妙なる真理が含まれているのではないだろうか。

　肛門様の威力を、決してアナどるなかれ。

1996-08-29