自己変革の裏技

■ その零　使用上の注意

　自己変革、運命好転、人生開拓などというテーマは、もうずっと長い間、私の最も大きな関心事であり続けている。

　小さな頃から偉人や聖人が好きだった。いつの頃からか、出世物語や自叙伝の類に興味を覚え、いわゆるサクセス・ストーリーを好んで読んだ。いつかは自分も・・、という夢を見つづけて大きくなったわけだ。

　しかし、社会に出てからは、そんな夢もどこかに吹き飛んでしまった。ふとしたことで転職。それを皮切りに、勤め先が倒産、失業。ぼろアパートでの独り住まい、そして・・・色々あって独立と、それなりに人生の荒波に揉まれて来た。

　そこで、これまで私が学んだ（真似した？）り、試したりしたことの中から、「うん、これはなかなか使えるんじゃないか」という“裏技”的な人生好転の実践術、処世術、視考術（？）みたいなものを幾つか紹介し、同じような問題を抱えている人のヒントになれば・・・と思う。

　「自己変革の裏技」と題してしまったが、「裏技」というほど妖しいものでもなく、実際は「小ワザ」と呼ぶ程度の、ちょっとした自己変革のコツである。馬鹿馬鹿しく思うものもきっと結構あるだろう。

　ここで断っておきたいが、私はすでに悟ってしまったわけでもなければ、成功をものにしたわけでもない。いまだに、人生や金銭の問題に悩み、相も変わらず、日々、頭を抱えることばかりである。

　ただ、学校の生徒に例えれば、「先生、ここまでは分かりました！」という、いわば、人生という問題集の中間報告みたいなもの。

　自分なりの精神的な姿勢や、重視している物事の考え方。そうしたものを基準に、日頃から気をつけている細かな手法を、実践的なノウハウとしてまとめたい。自分のホームページというこの場を借りて、思い付くまま、好き勝手に、しかも無責任に書き連ねていくつもりだ。

　はっきり言って、中年男のよくある講釈である。だから、これによって、いかなることが起きても（あるいは起きなくても）、私は一切関知せず、責任もとらないので、その点、よろしく。

　しかしまぁ、こういう人生訓に近いものは、人によって好みが激しい。人生観は、十人十色。世界観も人の数だけある。関心を持つ人もいるだろうが、無視する人はそれ以上に多いことだろう。

　それだけに、効果を期待したい人は、興味を抱いたものから、とにかく信じてやってみること。まず信じなければ、何事も始まらない。面白そうだ、と感じられなければ、それまでのこと。感動を自分から盛り立てるぐらいでなければ、本当の学びや効果なんて得られるものではない。

　実践すれば分かることだが、そういう意味で、この「自己変革の裏技」を真剣に会得するためには、何より“興味を持つこと”、“信じる心で臨むこと”が前提条件である。

　いつの時代も、信ずる者だけが自分を変え、世界を変えてきたのだから。

1996-08-29