■ 夢想編 液晶パソコン付きキーボード
あるメーカーの携帯端末の開発部長から「キーボードって必要ですかぁ？」と聞かれたことがあります。その質問には、「いまさらキーボードでもないでしょう」と言いたげな、ある思いが込められていました。
つまり、キーピッチとかキー配列とかのハードウェアではなくて、これからの時代は変換システムや、いわゆる入力支援など、ソフトウェアの部分を重視すべきでしょう、ということです。
ハードウェアの開発には、とかく金型とかコストのかかる要素が多く、バリエーションを豊富に用意することは難しいもの。ユーザーの多様な要望に、ハードだけで柔軟に応えることは至難の技です。そのため、可能な限りソフトウェアで対応していこうという考えは良く分かります。
しかし、だからといってキーボードが不要という結論に達してしまって良いのでしょうか。キーボードは、人間がコンピュータをダイレクトに、自在に操作することのできる、類まれなインターフェイスであり、これに優る代替え手段は、他に見当りません。
むしろ、キーボードこそ、これからの主役として、もっともっと注目され重視されなければならないと思います。そうした点では、現在のノートパソコンはまだまだズレてるなぁ、と思います。液晶のサイズを第一に設計したノートばかりで、最も使用頻度の高いキーボードは後回し、軽視されがちです。
例えば、どうして“キーボードが主役のノートパソコンを造ろう”という発想が出てこないのでしょうか。極端に言えば、Happy Hacking Keyboard に液晶を付けただけのようなノートパソコン。いわば「液晶パソコン付きキーボード」です。そんなキーボード発想型のノートパソコンもひとつくらいあって良いと思います。
ということで、前回紹介した20年前のキーボードを使って、「液晶パソコン付きキーボード」を作ったら面白いかも、と夢想しているのです。
（つづく）
2000-09-29
